すこしかじり虫

多趣味で結局無趣味。なんでも中途半端。そんな性格の人が書いてるブログです。

思い出し日記 1986年

思い出し 8月1日

午前6時、深川を出発。

なんとエンジンがかかった。昨日はただ単に長距離走行にエンジンがばてていただけだったのだろうか。

寒々とした空気の中、R233を留萌へ向かう。

当初の予定だと朱鞠内へ向かうところだったが、変更。

ラジオ体操している小学生たちを見かける。

ミラーを左右取り換え、右後方の視界を確保する。

名前は忘れたが、ある海水浴場で飯を食おうとバイクを降りる。あまりにも汚い砂浜だったのでやめる。

道路の真ん中にガードレールに向かって四輪のスリップ跡。その向かった先のガードレールにはいくつかの花束が供えられてあった・・・・

R232に乗り北上。

苫前にある海浜公園で昼飯。半分残してあったフランスパンにカビが生えていた。

非常に眠い。その公園の石のベンチに横になる。もろに日差しが当たる。かまわず1時間半ほど眠る。暑さで目が覚めた。

R232を羽幌へ。羽幌港に着いたのが午後1時半。

焼尻、天売両島への船がちょうど出航したところだった。次の便は3時10分。オロロン鳥は見たいが、そんなに待ってもいられない。一路、北へ。

天塩あたりから曇り始める。

右側だけの景色を見ると「ああ、山奥の風景」と感じるのだが、左側を見ると崖になっていて下は海。アンバランスな異景だった。それに空はどんよりとして不気味な空模様。空恐ろしい思いがした。臆病になってしまい、サロベツ原野を行かないことにしてしまった。(後で聞いたところによると、サロベツ原野のほうには人慣れした野生のキタキツネがいたそうな・・・・)

頭が蒸れる。禿げてしまいそうだ。途中何度かPへ停まり、メットを脱ぐ。

幌延町の天塩大橋からR40へ。稚内を目指す。

ノシャップ岬はあっけないものだった。岬という感じがしなかった。

銭湯で汗を流し、近くの食堂(「五十番」だったかな)へ入り、中華丼を食う。

寝場所にしようと稚内駅に行く。が、満員札止め。それで少しバイクでさまよう。

そういえば南駅があったな、と思いそこへ。誰もいない。ちょうどいい具合に商店のテントが三張あった。その中で寝てもいいかと店長に聞く。汚したりしなければ、という条件でOKがでた。今夜の寝場所はここにしよう。

そこへ、宮崎から軽のワゴンで来た、という人、それにそれぞれ途中で知り合って一緒に走っている、というバイクの三人。

横浜ナンバーのRZの高橋さんは会社から二週間の休みを取って北海道を回っている、とのこと。群馬ナンバーのVF400Fの人は学生(?) 所沢ナンバーのCB750Fインテグラの松井さん(名前はあとで手紙と写真を送ってもらって知る)はホンダの会社を辞めて回っている、とのこと。

三人が食事を作っているのを宮崎からの人と眺める。メニューはカレーライス。一杯いただく。おいしかった。それからワカメの味噌汁もいただく。これもまたおいしかった。

高橋さんのお金でビールとつまみの酒盛り。その途中、埼玉からやって来たチャリンコ青年も仲間に。松井さんと同郷で話を弾ませていた。

高橋さんにお金を払わなきゃ、と思っていたが、結局払わずじまいだった。俺ってガキだな、と思えた。

六人で南稚内駅に泊まる。すぐに寝付く。

  

  

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給油の記録、残してます

   

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今はないみたい、天塩駅


  

  

  

 

8月2日

午前4時起床。天候は霧雨。朝食にカップラーメンとコーヒー。

チャリンコ青年はさっさと出発してしまった。残った5人で記念撮影。

6時25分、南駅前を出発。

一方通行をいきなり逆行してしまう。ヤーさんっぽい男に止められ、それと気づく。恥ずかしかった。

R238を宗谷岬へ向かう。雨具を着こむ。昨晩の3人に追い抜かれる。

途中、富磯あたりの小さな漁港でバイクを降り、漁師に尋ねる。もしや宗谷岬を通り過ごしたのでは、と思ったのだ。しかし、まだまだだというのを聞いて安心する。

あるコーナーを右に曲がると、いきなりそこは宗谷岬だった。最北端のガソリンスタンド、最北端の食堂、ドライブイン、etc・・・ そこは何でも最北端だった。

昨晩の3人とチャリンコ青年に会い、写真を撮ったりする。みやげ物屋に入り、サークルのみんなにステッカーでも買って行ってやろうかと考えたが結局やめる。みんな道産子だし、みやげなんて期待してないよな・・・

松井さんにドライブインに入ろうよと誘われるが、早々に宗谷岬を出発する。

R238を南下。

峠道で昨晩のチャリンコ青年を追い抜く。

ひどい霧と霧雨だ。甲斐バンドの「陽の訪れのように」という曲が頭に浮かんできた。(その後、霧や霧雨にあうといつもこの曲を思い浮かべてしまう)

足が凍えそうだ。これが8月の空気か?!

浜頓別へ到着。祭りがあった。神輿と獅子舞。出店。蒸かし芋を買って食う。いったい何の祭りなのだろう。厄払いのようだが・・・

R275へ。次第に晴れてくる。やがて宗谷岬の冷気が信じられないほど暑くなる。

山肌に「おといねっぷ」と浮き出た音威子府村からR40へ。

正午、美深町からR275へ折れる。

ホンダの中型車が荷崩れを直している地点から舗装が途切れる。坂あり、工事中ありのひどいダート道だった。そのダート道で400ccくらいのアメリカンとすれ違ったりした。彼らも間違って入り込んだのかな。

朱鞠内湖がつかの間見える。湖面から竜が首を突き出している風に見える神秘的な風景だった。その地点からだいぶ通り過ぎてから「やはり写真を撮ろう」と思い、引き返す。

その結果、ガス欠・・・・・

エンジンが止まるとあたりはシンとして熊が出るんじゃないかと気が気でならなかった。冷や汗をかいていた。

そして一番最初に通りかかった車に手を振り、停まってくれたところで「ガソリンください」

何かあったときに使うつもりで持っていたチューブを車のガソリンタンクに突っ込み、車の運転手が飲んでいた200ccほどの紙パックに口で吸いこんで溜める。

どうやら何とか200ccばかりガソリンをもらえた。少しガソリンを飲んでしまったし・・・・

その救世主、旭川ナンバーのライトバンを見送った後、ガソリンスタンドを目指してキーを回す。

温根別・・・ 二度目にガス欠で立ち止まったところだ。

その時は近くの農家へ行ってガソリンを1リットルくらいもらえた。そこでもガソリンは貴重品だろうに、金を払うことも払おうともせず、「ありがとうございました!」の一言で片づけてしまった。

最寄りのスタンドはすでに閉店している。どこへ行けばいいんだろう。集落に着くとスタンドがあるはずと胸をなでおろす。が、スタンドがないことわかる。そういう時って本当にゾワッと寒気がするものだということが分かった。

届くかどうか心配だったが、士別までR239を走る。

峠の下りをエンジンを切ってニュートラルで走ったりして、Mobilでようやく給油。容量9リットルのタンクにたっぷり8.5リットル入った。やはり予備のガソリンを持ってくるべきだった。北海道の広さを変な意味で満喫したことになる。

そもそもずっと「リザーブ」の位置で走っていたことが間違いなのだが。

R40で名寄へ。口の中がガソリン臭い。うがいをしたい。名寄公園でちょい寝をしようと思ったが、なかなか眠れなかった。

夜、名寄公園で寝るのにいい場所を見つけられず、天塩川の橋を見てみるが深川の二の舞になるのが嫌で引き返す。駅にもうまい場所がない。

ホテルに泊まるなんて負けることだと思っていたが、領収書3900円也。

テレビでは「ひょうきん族」をやっていた。

明日、朱鞠内をもう一度攻めてみようと決意する。

口の中のガソリン臭さが抜けない。気色悪くてたまらない。寝つかれない。

午後11時40分、酒を買う。

  

  

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浜頓別の祭り