ストレッチャーに横たわった父。
裏口から一緒に出る。
造花店の人たちと。
ストレッチャーのまま、父をワゴン車に乗せる。
仰向けの父の顔には白い布が。
病院の裏口。
地味なつくりだ。
ホームセンターで売っている防風網がにわか作りで壁をなしている。
ふと、思い、看護師に問いかけた。
「ここは、出口専用なんですか?」
しばし口をつぐんで、答えた。
「ええ、そういうふうに なっ て ・・・」
言いにくそうだ。
看護師二人、奥に医師の姿が見える。
車に乗り込むとき、
「お世話になりました」
自分でもびっくりするくらい、はっきりと、きっちりと、挨拶できた。
乗り込み、車が動き出す。
後ろを振り返ると、出口にはまだ三人の姿が見えた。
ここに入院した時に感じた。ここが父の終いの場所だ、と。
でも、いざ、その時がくるとやはり哀しい。
病院から連絡が来たとき、最期まで付き添ってあげてればよかっただろうか?
否、死を待っているようでそれはしたくなかった。
でもそれで良かったのか?
そばにいてあげられればよかったか・・・・
悔いは尽きない。