会社のフォークリフトの下にセキレイがもぐっていった。
何か咥えている。
・・・・・さては?
座席を跳ね上げ、足元の鉄板を取り外す。
セキレイは驚いたのか、下から飛び出て行った。
そこには、巣が作りかけてあった。
小枝とか、ビニールの破れたのとか。
丸くなりかけてた。
こんなところに巣を作られたらたまったもんじゃない。
卵が産まれて孵化したら、フォークが使えなくなるじゃないか。
使ってもいいけど、その雛は生きていられないんじゃないか?
だって、エンジンルームだもん!
つい先日、軽トラの運転席シート下の巣を取り払ったばかり。
軽トラもびっくりしたけど、今度はよりによってフォークリフトに作ってたとは。
飛び出たセキレイは、俺が近くにいても離れようとしない。
巣が気になるのだろう。飛び立とうとしない。
近づくと駆け足で逃げようとはするが、飛んでいかない。
かわいいな、とは思うけど・・・
巣を取り払った。
3時間くらいたったころかな、またセキレイが何か咥えてフォークにもぐっていった。
まさか!
運転席を跳ね上げ、鉄板を取り除く。
また同じところに巣を作ってる!
何てことだ。
セキレイが見守る中、俺はまた巣を取り払った。
近くにいた会社の連中も面白がって巣を見に来ていた。
巣を取り払って出来たほんのわずかなスペースに俺は新聞紙を詰め込んだ。
これでもうここには作れないだろう。
「今度はどこに作るかね?」
「お前の車の下なんじゃないか?」
・・・まさか。