渋谷は込んでいた。
金曜日で12月1日だった。忘年会も始まったのだろう。
それとも毎週こんな感じなのだろうか? ものすごい人の数だ。
山手線を降り、京王線へ乗り換える。品川駅みたいに改札間の距離が短ければいいのに。
井の頭線はこれもまた大混雑。特急で吉祥寺を目指す。
明大前あたりで空いてくる。
午後7時頃、吉祥寺到着。あとはとにかく道をまっすぐ行けばいい。
どこまでも歩く、歩く歩く。
おいおい、こんなに歩くのか? 少し不安になる。
「餃子」の提灯が見える。ここだ。
店に入る。メガネが曇る。「いらっしゃい」の声。
主は俺の顔を見て、また見た。二度見だ。
「出張?」と聞いて来た。「ま、そんなもん」・・・・・
炒飯定食とビール。定食に餃子と唐揚がつく。唐揚もおいしかったが、餃子がおいしい。
食べやすかった。あまり食べ比べたことはないのだが、何か違う。
良いほうへ違う。
「王将」とも違うそうだ。彼独自の味で勝負しているらしい。おいしかった。
腹は膨れていたが、味を確かめたくてラーメンも頼む。
可もなく不可もなく。480円でこれでOKでしょ? 餃子と一緒に食ったらいいかも。
久しぶりだったが、あまり会話はない。
「品川まで何分かかるか?」なんて、とっくに自分で調べていることを聞いてみたりする。
携帯のサイトで調べたものを見せてくれるが、どうでもよかった。
俺のいる間に何組か入ってきた。なじみの客もいるようだ。
「順調?」と聞くと当たり前のようにうなずく。
一安心だ。
「年寄りが来れたらいいんだけどな」
「元気で」
またしばらく会えないだろうな。
餃子の味に安心と満足感を感じた。
客の注文を手際よく作り上げてゆく背中が頼もしかった。プロだな。
安心した。体だけが心配だ。
元気で。