すこしかじり虫

多趣味で結局無趣味。なんでも中途半端。そんな性格の人が書いてるブログです。

父親の話

もう家に戻ってくることはないだろう。
  
週の何回かデイサービスへ行って風呂に入ってもらっていた。
それも、自分で風呂に入り、脱衣所で服を着ようとしていていたときに転んで、ガラスを破り、肩を縫う怪我をしてからだ。
それがなければ、いまだに自分で風呂に入っていたろう。
  
今年の夏も暑かった。
暑がりの父親なのだが、介護している母親はエアコンが嫌いで、日中つけなかった。
デイサービスがない日、自宅にいた父親は要求したかもしれない。「エアコンつけろ」と。
しかし言葉が不自由になってしまっていて、母親に伝わらなかったのかもしれない。
もちろん、要求しなかったかもしれない。けれど結果、熱中症で救急車で運ばれた。
1週間以上の入院。
  
母親は家でまた介護したいという。
父親は食べ物の飲み込みが弱まっていて、食べ物も気を遣うようになっている。
母親は料理が大の苦手。
介護食など作れるはずもない。
それに少し目をはなした隙に父親が自分で動こうとして、怪我をしてしまうことも考えられる。
24時間ついてみてあげる事は不可能だ。
  
今日退院したが、そのまま老人ホームに入ってもらう。
そう、もう家に戻ってくることはないだろう。
母親はやはり家で介護したいと思っているようだ。
しかし無理だ。
24時間ついてあげられないのだ。
仕事をやめれば出来るかもしれない。
それには社会的にあまりにも。
  
父親にとっても、母親にとっても、そして私にとっても
仕方のない選択だとは思っている。
  
いるのだが。